スペインギター音楽コンクール優勝、J.S.バッハ国際ギターコンクール優勝。JAZZからクラシックまで、幅広く色彩豊かな音色を奏でるギタリスト、仲山涼太氏にインタビューしました。
新しく生まれる音色や響き、明瞭になる音の繋がり
同じ曲をずっと弾いていると、それまで見えなかった曲の構造や音の繋がりが見えてくることがあります。弦の触れ方や爪の角度を変えてみると、新しい音色に出会えることがあります。弾けば弾くほど広がる世界が楽しくて、これまでギターを弾いてきました。
今年はスペインギター音楽コンクール、JSバッハ国際ギターコンクールで優勝できました。これまで私を応援してくれていた人が、自分ごとのように喜んでくれる光景も目にしました。自分のためにと思って続けてきたことが、誰かにとって1つの嬉しいお知らせになれる。そう思うと、これからもずっと続けていけそうです。
期日までに、理想にどれだけ近づけるか
コンクールに何度も挑戦しているのは、それが自分自身の成長に直結するからです。決められた期日の中で、自分の理想にどれだけ近づけるか。コンクール本番で自分の実力を出し切れるか、そのためにどんな準備ができるか。試行錯誤しながら、毎回取り組んでいます。
今年は、8月に大阪で開催される日本ギターコンクールに、10月はスペインのセビーリャで開催される国際ギターコンクールに出場します。海外での演奏は初めてで、私にとって大きな一歩になりそうです。
さらに、来年は日本国内で最もハイレベルな東京国際ギターコンクールに、再来年はドイツやチェコのコンクールへの参加を検討しています。
クラシックギターを10年続けて得られたもの
クラシックギターの演奏に本腰を入れて取り組むようになってから、10年が経ちました。楽器の鳴らし方、響かせ方から、曲の流れ、音楽理論。クラシックギターを弾き続けたからこそ、ギターそのものに対する考え方が深まり、演奏の技術も高まったと考えています。
クラシックギターは、フレットの押さえる位置が1mmでもずれると、正しい音が出ません。生音だけで表現するクラシックギターで、どんな音色を出すか。それは、アコースティックギターでも、エレキギターでも、指弾きでも、ピック弾きでも、応用できます。
また、いい音色を出すための正しいフォームを、クラシックギターを通じて改めて学びました。もしギターを弾きながら腕や指が疲れてしまったら、それは身体のどこかに余分な負荷が掛かっているためです。
このことはギター教室で初心者の生徒を教える場面でも役に立っています。私たちにとっては簡単なコードも、初めての人にとってはそうではありません。なぜ指を押さえにくいか、頭にある正しいフォームと見比べることで、改善点を具体的に指摘できるようになったからです。
アコースティックを基軸に、ジャンル・フィールドを超えて活動したい
20代前半までは、ジャズギタリストを目指していました。今でもその夢は諦めていません。クラシックギターの世界で、自分が納得できるレベルに到達できたら、ジャズギターの勉強を再開したいと思っています。
最近は、書道家とワークショップを開催したり、劇中で役者として演奏したり、分野の異なるプロフェッショナルと協業する機会が増えました。例えば、書道家の西本賢さんは、私のギターを聴きながら、そのインスピレーションで色文字を描きます。今後も、他ジャンルのアーティストとは積極的に関わりたいです。
KARAKURIJAPAN | 西本賢
また、今後は海外での演奏を視野に入れて活動していきたいです。言語も文化も全く異なる世界で演奏することで、どんな感情が生まれるのか、どんな技術を吸収できるのか。新しい世界で刺激ある経験を重ね、自分自身の表現をより深めたいと思っています。
ギタリストとしてさらに上を目指すためには、常に目標を持ち挑戦し続けることが大切です。そして、それは多くのサポートあってこそ継続できることです。周りへの感謝を忘れず、アコースティックの世界を追求していきたいです。
写真・動画編集・取材:青山 航
語り手:仲山 涼太
仲山涼太
14歳でギターを始める。エレキギター、JAZZギターを古賀和憲、竹田一彦の両氏に師事。2007年よりクラシックギターを中川誠、中川亨の両氏に師事。仲山ギター教室主催。
第36回スペインギター音楽コンクール優勝
第10回J.S.バッハ国際ギターコンクール優勝
第44回日本ギターコンクールオヌール部門第3位
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